水位計は河川等の水位を定量的に計測する装置です。 水位とは、ある基準面からの水面の高さであり、河川、湖沼、貯水池、遊水地、内水、河口、及び、地下水等の水文・水理現象を把握することを目的として観測が行われています。基準面は水位観測所ごとにあらかじめ測量した上で定められた標高です。それぞれの水位観測所で定めているはん濫危険水位やはん濫注意水位も、基準面からの高さで表しています。基準面の標高を量水標の零点高(以下、「零点高」という。)といいます。零点高は、通常、東京湾平均海面(東京湾の平均海面からの高さで、T.P.:Tokyo Peil、東京湾中等潮位とも呼ばれます)で表示します。東京湾平均海面は明治時代に測量されたものですので、現在の東京湾の平均潮位とは異なりますが、計測データの継続性を維持するため当時の値が用いられています。水位は、基準面を0とし、ここから水面までの高さをはかり、測定単位はメートル(m)とし、小数点以下2位(cm)まで表記します。水位観測所には、量水標が設置されています。量水標とは、鋼製またはアルミ製の板(幅20~30cm程度)に目盛が記されたもので、これを観測のために河道内に専用に立てた柱や、護岸、橋脚の表面に設置し、水位を読み取ります。量水標の目盛のゼロ点の標高は、零点高となるように設定されています。したがって、水面の標高=量水標計測値+零点高となります。零点高の表し方として、T.P. 以外にY.P.(利根川水系)、A.P.(荒川水系)、O.P.(淀川水系)などを用いることがあります。河川の水位は、流量の変化や河床の変動によって変化し、河口水位や感潮区間の水位は、さらに潮汐や高潮・津波等による潮位の変動の影響を受けます。基準面は、それまでの観測データの連続性を保つため、河川改修や洪水などによって河床が下がっても、基本的には変更することはありません。したがって、観測所によっては、普段の水位がマイナスの値となっているところがあります。 水位の観測方法には普通観測と自記観測があります。普通観測とは、量水標を目で見て行う観測をいいます。普通観測は現在、流量観測時や自記観測機器の点検時などにあわせて実施されています。自記観測とは、記録器を有した器械(自記水位計)による観測をいいます。自記計数器あるいはデータ記録計(データロガー)を水位計にとりつけ、記録された記録紙あるいは記録計からデータを収集し、そのデータを整理します。水位観測所では、自記水位計とともに量水標が必ず併設されていて、量水標による観測値に一致するよう自記水位計の観測値を調整しています。水位は水位計を用いて測定され、いろいろな種類の水位計が使用されています。水位計そのものは比較的安価ですが、それを設置するための観測塔の建設には多額の土木工事費を要するため、設置が容易な圧力式や超音波式といった水位計の利用が増えています。 また、水位計は河川や貯水地以外にも、田んぼや井戸・タンク等身の回りでも使用されています。

水位計 製品紹介

水位計の種類

 水位計には観測方法により様々なタイプがあります。接触型と非接触型に大別され、接触型にはフロート式と圧力式があり、非接触型には超音波式と電波式水位計があります。 接触型のフロート式水位計は、フロートを水面に浮かべ、そのフロートと錘とをワイヤーで結び、ワイヤーの上下動を滑車の回転を介して記録します。電子部品等を用いないため、電源トラブルや中断時にも使用が可能で、長期の水位観測データ収集・蓄積に関して歴史的な役割を果たしてきました。しかし、施設整備と維持に費用がかかるため、最近はあまり使われていません。圧力式水位計も水深と水圧の比例関係を応用した方式ですが、水圧を直接測定する点が異なります。水中に設置された圧力センサーの信号を電気的に変換して水位を測定します。また、低消費電力で駆動するタイプの測定機器は、電源のない場所での乾電池や太陽電池を用いた長期観測が可能なため、簡易観測にも適しています。設置方法は水中にセンサー部を固定するだけなので、簡単です。しかし、流れが速いところでは動水圧の影響を受け誤差が出やすいため、注意が必要です。加えて、高速流・転石・壁面のこすれ等によるセンサーの故障・ケーブル破断の恐れがある場合は保護策が必要です。さらに、センサーが大気圧との差圧検知型でない場合は、大気圧補正が必要です。気泡式水位計は、水深と水圧の比例関係を応用した仕組みで、水中に開口した管からゆっくりと気泡を出すときの管内の圧力を圧力センサーで測定します。気泡管を水中に固定するだけですので設置は簡易です。しかし、動水圧及び水温・濁度等による水の密度変化の影響を受ける点に注意が必要です。 非接触型の超音波/電波式水位計は、超音波又は電波送受波器を水面の鉛直上方に取り付け、超音波または電波が水面に当たって戻ってくるまでの時間を測定することにより、水面と送受波器との距離を計算し、その距離から水位を算出します。水面と非接触の状態で計測でき、センサー設置位置の自由度が高いため、河川上流の高流速の地点や河床変動が激しく流路変動に対処する必要のある場所での設置に適しています。ただし、センサー体を空中に設置しますので、風や設置土台の振動を抑制する必要があります。さらに、超音波式の場合には温度補正が必要です。

水位計の活用

 水位計による観測結果は観測地点における水位の把握のほか、個別地点の水深やほかの地点との関係の中での水位差・水面形・水面勾配に換算したり、流量観測で記述する流量や流速に変換したりすることによって活用されています。水位観測は、河川・砂防に関する計画の立案、工事の実施、施設の維持管理、環境の整備及び保全、洪水や渇水等の水災害への対応等を実施するための最も基本的な調査項目です。 水位は河川を管理する目的で時々刻々観測されていますが、洪水時における水位観測は、洪水予報や水防活動に重要な情報を提供し、渇水時には、用水の取水量や取水位の管理に用いられています。近年、中小河川や河川上流部・支川における水害発生が顕著となっているため、今まで以上のきめ細かな観測網によって水位予測精度の向上をはかり、早期避難や的確な水防活動を実施するなどの危機管理体制の強化が求められています。かかる防災目的の水位観測を実施する場合、既設の水位観測所を補完する場所に、簡易的な水位モニタリングシステムを設置し多地点観測を実施することが望ましいと考えられています。継続的な観測と防災目的のアドホックな観測は精度やスピード感などに相違があることが理由です。なお、簡易システムとは、精度を確保した長期的な統計資料として活用することを主目的とせず、概略的、緊急的、若しくは臨時的に、水害発生時の特定の水理・水文状況等について具体的に設定した上で、それに適した簡易的な方法・センサー等で観測することを指します。具体的には、重要区域等で水位を密に把握するために設置するデータ発信機能付きのアドホック型水位計による観測や洪水痕跡水位調査での利用が考えられる最高水位計(洪水後に最高水位のみが把握できるように工夫された水位計)による観測などの実施例があります。 水位計の活用を巡っては、頻発する突発型豪雨等の被害により、近年大きな注目を集めているという状況です。国土交通省は、時間雨量が50mmを上回る豪雨が全国的に増加しているなど、近年、雨の降り方が局地化・集中化・激甚化しているとの認識に基づいて、あらたな防災・減災のあり方に着手し、一級河川と比べて、整備が遅れがちな中小河川の水害対策が本格的に始動しています。これに伴い、豪雨対策として、洪水時の計測だけに機能を特化した低コストの水位計の設置が、2018年から全国の都道府県管理の中小河川で始まりました。国土交通省では危機管理型水位計と呼び、広く普及させる考えです。防災・安全交付金などで自治体を支援し3年間で5000カ所以上に設置していく計画で、このような動きに民間企業も呼応し、水位計の新たな活用法が活発に開発されつつあります。用途別水位モニタリングシステムの開発が急ピッチで進んでいますので、近い将来、突発型豪雨に対応した水位管理インフラが実現すると期待されます。

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