気圧計とは大気の圧力を測定する測器です。大気の圧力は、水平面の単位面積上の大気の重さによって働く「力」として定義され、地上における気圧は、単位面積上の鉛直にとった気柱内の空気の重さに等しくなります。気圧の単位はヘクトパスカル(hPa)を用います。海面上での気圧はおよそ1000hPa前後であり、これは1㎠あたり1㎏の重さがかかっていることに相当します。気圧の単位としてパスカルでなくヘクト(百倍)パスカルを使うのは、1992年11月まで使用してきたミリバール(mb)と数値を同じにするためです。すなわち、1mb=1hPaであり、mbで表した過去の資料を使うときも単位を変えるだけで換算の必要がありません。 気圧は、台風の中心付近や竜巻の中といった特別な気象状態の場合を除いて、広い範囲でその値がほぼ一定の為、空間代表性の大きな要素です。また、風や天気分布との関係が深く、天気予報においては最も基本的な気象要素として取り扱われています。このため、全国の気象台・測候所・気象観測所では、気圧計及びその他の測器を組み合わせた地上気象観測装置を用いて、気象観測が行われています。気圧計以外の測器は観測露場や庁舎屋上等の屋外に設置するのに対して、気圧計及び信号変換部は観測室内に設置されています。これは、直射光による温度変化や上下の温度差が少なく、振動や衝撃を受ける恐れのない場所で、微小な変化を捉えるためです。加えて、他の場所の気圧と比較するために、設置場所の海面上の高さを求めて、海面上の気圧に換算した海面校正気圧としての観測を行うことが望ましいとされています。 かつて、「バロメーター」が先行指標の意味で使われたのは、低気圧の接近といった天候の悪化に先んじて気圧の変化が起こることに由来すると言われています。圧力の単位がbarで、そのメーターでバロメーター(barometer)となり、気圧計のことでした。気圧計は気圧を測ると同時に、低気圧の接近を知ることができる機械でした。気圧が低くなったら天候が悪くなる可能性が高い。つまり、気圧計は「天気のバロメーター」だったというわけです。また、気圧計の原理を応用して作られたのが晴雨計であり、短時間ではあるが気象の予想が行えるようになったため、船舶等に普及しました。

気圧計 製品紹介

気象観測装置の種類

 気圧を測定する測器としては、真空を基準として絶対圧を測定するものと、圧力によって弾性体が変形することを利用して相対圧を測定するものの2つに分類できます。このほか、液体の沸点と気圧の関係を用いたものもあります。また、気象観測用ではありませんが、基準器校正用として非常に高い精度で絶対圧を発生できる空気式重錘型圧力計も使われています。 絶対圧を測定する最も基本的な水銀気圧計は長期間の安定性があり精度が高いという優れた利点を持っていますが、設置・読み取りを慎重に行う必要があること、気圧を求めるのに複雑な補正が必要であること、高価であることなどから、現在は他の気圧計の校正用基準器として使用されることが多くなっています。 相対的な測定方法であるアネロイド型気圧計は、小型軽量で取扱いも水銀気圧計に比べて容易であり、比較的振動に強いので、やや精度は劣るものの、長い間、通常の気象観測用に用いられてきています。最近では後述する電気式気圧計などがこれにとって代わりつつあります。 最近、水銀気圧計・アネロイド型気圧計とは全く別の原理を応用した多様な気圧計が開発されています。これらには、薄い金属製の円筒の中を真空にし、あるいは水晶を用い、これに強制的に振動を与えるとその振動数が圧力によって変化することを利用した気圧計、単結晶シリコンなどの弾性体で真空の空間(ダイアフラム)を作り、アネロイド型気圧計の空盒と同様にこの空間の容積が気圧によって変化することを利用して気圧を求める気圧計などがあります。これらの気圧計においては、気圧は電気的に振動数(周波数)又は静電容量などの変化によって検出する方式がとられており、検出方法に応じて振動式気圧計あるいは電気式気圧計と呼ばれています。いずれも、気圧を電気量の変化として検出するので、気圧を数値で表示したり記録する処理が容易に行えます。また、機器への振動や衝撃にも比較的強く、感部付近の温度を別に測定することによって温度補償も容易にできるといった利点を持っています。このほか、素子の製造方法によっては長期間にわたって経時変化が少なく、変化があっても補正可能といった優れた点を有している為、絶対的な測定はできませんが、通常の気圧観測用として今後の発展可能性が大きいといえます。気象庁では、1982年からは円筒振動式気圧計を、1995年からはシリコンを用いた電気式気圧計を採用しています。また、基準器としてフォルタン型水銀気圧計を用いています。全国の気象台・測候所・気象観測所に設置された地上気象観測装置では、電気式気圧計が使用されています。 最近では、電気式気圧計の分野で様々な用途に応じた製品開発が進められています。通常のアナログタイプに対して、デジタル出力が可能なデジタル大気圧センサーは直接パソコン等への接続が可能で、転送された記録データをそのままパソコンでデータ処理することが可能です。さらに記録データは表計算ソフトを用いて統計分析することもできます。航空、気象観測機関をはじめ、測定精度と長期安定性が要求される工業分野での気圧測定、レーザー干渉測定、エンジンテストベンチにおける排気ガス分析、気象ステーションでの観測等に適用可能です。この他、デジタル表示機能付や低消費電力、防滴構造タイプ、広範囲測定タイプ等、様々な利用シーンに応じた製品開発が進んでいます。

気象観測でのデータ活用

 気圧計の観測データは、もともと注意報・警報や天気予報の発表等の気象分野で利用されてきましたが、装置の電子化・軽量化等の進展に伴い、気候変動の把握や産業活動の調査・研究等、理工学・医学・工業などの分野でも利用が進んでいます。気象情報を収集して天気予報を行う場合は、気圧計は不可欠な道具です。気象予報時の低気圧や高気圧等の観測には気圧計は欠かせず、気圧変化状況を応用した天気予想がされています。特に夏季の日本列島には台風が到来しますが、この際にも中心気圧に基づく台風の勢力予想が、気圧計測定により可能となっています。 前述のように工業関係の会社でも最新技術を応用した気圧測定のニーズが存在しており、他にも、航空会社では、航空機の運航状況や航路決定を目的に、気象観測が行われており、気圧計をはじめとした観測機器は欠かせないものとなっています。 個人利用に目を向けると、登山愛好者には気圧計を持参している人が多く存在します。山岳気象は変化が速いため、常に気象状況に関心を向けた登山行動をしていないと、急な天候変化に伴う大事故につながる可能性があります。また、気圧計は高度計としての役目を果たすため、現在位置の把握に利用されるなど、登山家や山登りを普段からしている方は気圧を計測しながら頂上を目指すことになります。特に高い山であればあるほど、気圧の変化によって高山病などを引き起こすこともあるため、気圧の計測はとても重要な要素となります。 気圧と身体の関係についても最近は関心が持たれています。気圧変化が体調に影響を及ぼしていると感じる方が少なからず存在します。特に6月の梅雨時には身体の不調を訴える方が増えるそうです。発表されている統計分析及び研究論文によると、低気圧が人間の健康に与える影響が肯定されている為、身体が不調になる原因は低気圧であると考えられます。現在では気圧計の精度なども向上しており、スマートフォンなどでも気圧計が搭載されている機種も出ていて、個人でも気軽に計測をすることができるようになっています。自身で気圧を計測し、なるべく体調が悪くならないように対策をしている方もいるのではないでしょうか。気圧計を用いることによって簡単に対策をすることができますので、今後は気圧測定アプリ等を活用した体調管理手法が普及していくのではないでしょうか。

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