河川やタンクなどの水位を正確に計測する水位計
水位とは基準となる面からの水面の高さを表すもので、水位計によって計測することができます。水位計は河川や工場のタンク内の水位を計測するなど、幅広い分野で使用されている測定器です。河川などに設置された水位票や量水板などでも大まかな水位を知る事はできますが、水位が高いと洪水などの大きな災害を引き起こしますので、水位計によってより正確な水位を測定しなくてはなりません。特に過去に氾濫した事のある場所では常に正確な水位を計測して、水害による被害を未然に防ぐ必要があります。自然現象だからと手をこまねくだけではなく、細心の注意を払う事が大切です。詳しい水位を計測する事で、水防警報の準備に入る指定水位・水防警報を発する基準となる警戒水位・洪水警報が発令される危険水位などが明確になります。
工場などで使用するタンク内の様子は外部から見ることができないことがほとんどなので、水位計を設置して水位の計測が行われることが多くあります。正確な水位を計測してタンク内を適正な状態に管理しないと、計画通りにタンクを使う事ができませんし、設備を破損させてしまう可能性もあるでしょう。タンクが頑丈に出来ていても接続されている機器が壊れてしまうこともありますから、しっかりと水位を管理しなくてはなりません。このように、さまざまな水位を正確に計測する計測器は、日常生活や産業に欠かせないものとなっています。
水位を計測する方法は複数ありますが、現在はフロート式・超音波式・圧力式が主に使われています。フロート式水位計はワイヤやテープなどを取り付けたフロートを観測したい場所に浮かべてから、ワイヤなどを巻き取り水位の計測する装置です。極めて簡単に水位が計測でき、構造もシンプルなため故障しにくいという利点があります。フロート式は水位を測る原理が極めて単純なために測定を誤るといったことも少ないので、他の測定方法での結果に疑問が生じた時などは、フロート式で改めて測定し直すことも有効な方法です。超音波式水位計は水面に向かって超音波を発射して、水面からどの位の時間で超音波が反射されるかでセンサーから水面までの距離を計測し、水位を計測するものです。超音波式で水位を測定する場合は、水面が安定した状態に対して用いられるのが一般的です。乱流の場合でも水位を計測できますが、水面の影響を受けて若干の水位変動がある事を覚悟しなくてはなりません。超音波式で水位を計測する時は、水面の状態を把握しておくようにしましょう。圧力式水位計は、水晶や半導体などのセンサーを使って水位を計測する装置です。比較的安価で長期的に安定した計測が可能なため、さまざまな用途に用いられています。このように、複数の水位計があり、用途や計測対象に応じて適切な水位計を選ぶことができます。測定原理や構造などを理解して、正確に水位を計測するようにしましょう。
水位計にはさまざまな種類がありますが、同じ方式の水位計でも性能に違いがあることにも注意しなくてはなりません。圧力式水位計の場合は、製品ごとに定格圧力や過大圧力に違いがありますし、付加抵抗などについても異なります。そのため、どのような箇所に水位を測定するのかを明確にする以外に、どのような計測システムに接続して水位を調べるのかも考えておく必要があります。仕様を十分に調べずに安易に水位計を選んでしまうと、正確な水位が計測出来ないだけではなく、計測システム全体の故障にも発展してしまいます。また、水位の計測は長期間に及ぶ事が多いので、耐久性や耐食性に気を付けて水位計を選ぶ必要があるでしょう。どのような素材で作られているのか、使用可能な環境温度の範囲はどうなっているのかなど、具体的な数値を調べて用途に合っているのかを検討すると良いでしょう。そして、水位を計測するシステム全体が、問題なく稼動することも確認する必要があります。特に野外の河川などの水位を計測する場合は、長期間過酷な環境下で使用される事になりますから、安定して計測するために工夫を施さなければ正確な水位を知ることができなくなってしまいます。このようなことにならないためにも、水位を計測する環境のことをよく調べて十分な対策を施した上で、水位計測システムを運用するようにしましょう。