暑さ指数(WBGT)の歴史

2020-09-02

 1954年(昭和29年)にアメリカのYaglouとMinardが暑さ指数(WBGT)を提案し、アメリカ・サウスカロライナ州パリスアイランドの海兵隊新兵訓練所で、熱中症のリスクを事前に判断するために開発されました。パリスアイランドは湿度が高い上に、海兵隊の訓練は厳しく、訓練中は服装や装備にも厳しい制約があったために、熱中症になりやすかったことが暑さ指数(WBGT)の提案につながったようです。
1975年(昭和50年)に、ASCM(アメリカスポーツ医学会)が暑さ指数(WBGT)を用いた長距離走の指針を公表しました。暑さ指数が28℃以上の場合は、10マイル以上の長距離走を禁止するというものでした。そして1982年(昭和57年)には、ISOにより暑さ指数(WBGT)が国際基準として位置づけられました。
日本では、1994年(平成5年)に(財)日本体育協会が「熱中症予防の原則およびガイドライン」を発表し、スポーツ活動中の熱中症事故予防に関する呼びかけを始めました。2006年(平成18年)には、環境省が「熱中症予防情報」サイトを開設し、web上で国内各地の暑さ指数(WBGT)の情報を提供する仕組みを本格的に運用開始しました。2008年(平成20年)に、日本生気象学会が「日常生活における熱中症予防指針」を公表しました。2011年(平成23年)には、環境省「熱中症予防情報」サイトの情報提供地点を約150箇所に拡大、予測期間も今日、明日、明後日の3日分となりました。2013年(平成25年)、環境省「熱中症予防情報」サイトの情報提供地点を約840箇所に拡大、HTTP形式の(暑さ指数の)データ提供や生活の場での予測値の算出等、新たな機能を追加しました。
熱中症の危険度を判断する数値として、環境省では平成18年から情報提供を行っています。平成17年の主要都市の救急搬送データを基に日最高WBGTと熱中症患者発生率の関係を示したグラフからは、暑さ指数(WBGT)が28℃(厳重警戒)を超えると熱中症患者が著しく増加する様子が読み取れます。
令和2年7月からは環境省と気象庁が共同で関東甲信地方の1都8県で「熱中症警戒アラート」の試行を開始しました。熱中症の危険性が極めて高くなると予想される前日あるいは当日に対象に地域に対してアラートが発表されます。令和3年夏からは全国での本格実施が予定されています。

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