今年の6月から「顕著な大雨に関する気象情報」の運用が開始されましたが、線状降水帯の発生は予測が難しいため、「線状降水帯が発生しました」という実況の情報になります。つまり、「顕著な大雨に関する気象情報」が発表されるとき、既に安全に避難することが難しい状況になっている可能性があります。
線状降水帯の正体は、激しい雨と雷をもたらす積乱雲ですが、積乱雲1つだけであればせいぜい30分~1時間程度の寿命なので、災害に結びつくようなことはありません。しかし、この積乱雲が次から次へと発生し、複数の積乱雲が並ぶことで線状降水帯が形成されます。同じ場所で激しい雨が降り続くので、大きな被害が出る恐れがあります。
線状降水帯の発生予測をするためには、風上側に積乱雲が継続的に発生するか、また、強雨域の停滞を予測する必要があります。そのためにも積乱雲のもとになる水蒸気の流入を把握する必要がありますが、現状では水蒸気の十分な観測ができていません。
現状では予測することが難しいと言われる線状降水帯ですが、災害からの逃げ遅れを減らすために、予測の精度を高める研究や観測の強化が進められています。