日射計の種類と違い

2019-12-10

 日射計は一般的にあまり馴染みがなく、小学校や中学生の頃に理科の授業で聞いたことがある程度の人も少ないです。日射計というのは簡単に言えば太陽から放射されるエネルギー量を計るための装置です。その日射量は、単位面積の単位時間あたりの太陽放射エネルギーの量です。計測方法としては、感部に当たる熱エネルギーを電気信号に変換し、測定します。具体的には光電素子やサーモパイルを用いて日射量を電気信号へと変換する方法がポピュラーになってきています。
 日射計には測定する日射量に違いがあり、それによって使われる日射計に違いがあります。日射量には直達日射量、散乱日射量、全天日射量という3種類があります。直達日射量が太陽から観測点に直接差し込む光であり、散乱日射量はそれ以外のものになります。この散乱日射量は大気の分子や雲の粒子に散乱された光が日射計へと届いているものを指します。そして、この二つの和が全天日射量となるのです。直達日射量は太陽追尾装置がつけられた直達日射計、全天日射量が全天日射計で計測されます。散乱日射計については全天日射計を使用して、太陽追尾装置に取り付けて直接的な光を避けるよう円盤で遮断をして計測をします。日射計は使う目的や場所によって作りが違います。このようにそれぞれの日射量を計測するには目的に適した日射計を用いて計測をすることが必要であり、このデータは気象庁によって公開もされています。気象庁では日本国内の5地点で計測をしており、知りたい日の特定の日射データを閲覧することが可能です。この気象庁が出しているデータや個人的に調べたデータを用いることで気体の濁り具合や水蒸気量といった情報を確認することができます。特に太陽光発電に関して動きがある昨今では、太陽光発電計測の目的に合わせた日射計も出回りはじめています。
 日射量はどういった場面に必要とされるかというと、農業分野で活躍しています。たとえば、農作物がどれだけ育つか農家らが状況を把握するために役立っています。農作物がどのような状態で蒸発散作用しているか調べたりします。他にも、太陽光発電でも日射量は関係してきます。太陽光パネルの設置場所に日射計を設置することによって太陽光が電気に変換される前の太陽エネルギー量を調べることができます。変換前後のエネルギーを知ることによって発電効率を調べることができます。農業や太陽光発電の現場の他、工業や建築、医学にも幅広く利用されており、人間生活に深く影響をもたらしています。
 前述のとおり、直達日射量は太陽から直接観測点までに差す太陽光の量のことを指します。それに対し、散乱日射量は直達日射量以外の大気の分子または雲の粒子等に、散乱されている光の日射量となります。直達日射量と散乱された光の日射量を足したものを、全天日射量といいます。太陽追尾装置と呼ばれる太陽の方向へ回転する装置に直達日射計を取り付け、計測するのが一般的です。筒状の日射計は太陽から直接差し込んでくるもの以外は、計測しないような仕組みになっていて直接差し込む光のみ計測することができます。さらに総合的な日射量を計測する装置が全天日射計です。形状はドーム状で、水平に設置して観測地点にて総合的に計測することが可能であり、需要が多いタイプでもあります。基準器として使われるような高額な日射計もありますが、比較的手ごろな価格で購入できるものもあります。コストは低めでも高い精度をもったコンパクトタイプの日射計も存在します。屋外に設置しても耐久性を備えた信頼性の高い構造をしているものもあります。観測方法や用途に合った方法で日射量を選択することができます。精度や感度など、細かい部分についても日射計のタイプが分かれています。太陽光発電に利用するのか農業の管理などに利用するのかによって使うべきものが異なります。

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