高精度な測定に使われる湿度計のセンサーについて
温湿度といわれるように、湿度は温度と一緒に使われることが多い値です。言葉で言うと、じめじめとかカラッとしたとかいう言葉で表されますが、温度と比べるとなんだかあいまいな印象を持つのは私だけでしょうか。これは湿度が温度とは違って、パーセントという割合で表されているからかもしれません。湿度とは空気中に含まれる水蒸気の多さのことです。ここで知っておきたいのは、空気に含まれることができる水蒸気の最大量は温度と気圧によって決まっているということです。ある温度と気圧で空気中に含まれることができる水蒸気の最大の量を飽和水蒸気量といいます。これを超える量の水分は、凝結して水滴となります。梅雨などの湿度が高い時期に窓などに結露が生じるのはこのためです。飽和水蒸気量に対する、実際の空気に含まれる水蒸気の量の割合は相対湿度と呼ばれます。これが一般に言われる湿度のことなのです。空気は温度が高いほど多くの水蒸気を含むことができます。このため、同じ湿度でも、夏は冬と比べて空気に多くの水蒸気を含んでいるのです。夏がじめじめしていると感じやすく、冬が乾燥していると感じやすいのはこのためです。この湿度を測定するのが湿度計です。湿度計にはいくつかの種類があります。かつて理科室などによくあった乾湿球湿式、毛髪やバイメタルを用いた機械式、半導体センサーなどを用いた電気式などです。乾湿球式は2個の温度計からできています。一方は水で球部を常に湿らせた湿球温度計ともう一方は普通の乾球温度計からなっています。湿球は球部で水が蒸発によって蒸発熱を奪うため、乾球よりも低い温度になります。湿球の蒸発は周りの空気の水蒸気量に影響されるため、この湿球と乾球の温度差から周りの湿度を計算することができるのです。機械式湿度計には、ヒトや動物の毛、ナイロンの糸などの湿度変化による伸縮を利用した伸縮式のものと、金属と感湿材をあり合わせてゼンマイのように巻いたバイメタル式などがあります。いずれも、湿度が直接測定できるという利点はありますが、精度や耐久性があまりないという短所があります。半導体センサーを用いた電気式湿度計は、機器への組込みが容易なことから多くの設備や機械に使われるようになってきています。半導体センサーには、静電容量型と抵抗型のものがあります。静電容量型のセンサーは、感湿体を挟む2枚の板状の電極の間に交流電圧を加えることで、感湿体の水分量によって、静電容量が変化することから湿度を測定するものです。抵抗性センサーは、感湿体の水分吸収に伴う抵抗の変化から湿度を測定するものです。乾湿球湿式が最も高精度の測定ができるとされ、湿度センサーの校正に使われています。