湿度が高い記録によって作られた日本文化
日本の夏は湿度と温度が高いのが特徴です。高温多湿の気候には良い点も悪い点もありますが、先人たちは知恵を活用してうまく順応してきました。このような気候でなければ生まれなかった文化が多く残り、独自性のある世界観を構築しています。日本には有益なカビ菌を使った発酵食品が非常に多いのは、湿度が高いことも影響しています。乾燥した気候はコウジカビにとっても厳しい環境となり、味噌や日本酒を作ることが難しくなります。コウジカビを使った食品としては、世界で最も硬いとされる鰹節が有名です。酢も不思議な食品で、高温多湿の環境でも腐ることなく発酵してくれるものです。湿度が高いと家屋にも工夫が施されます。日本家屋には木造が多いのも、高温多湿の夏を快適に過ごすための知恵です。木材には優れた吸湿作用があるため、蒸し暑いときには水分を吸収して、乾いた天気の日には水分を放出してくれます。日本家屋で使われる畳についても、吸湿作用に優れているものです。畳にはイグサの芳香もあり、夏の鬱陶しい蒸し暑さを解消させる効果があります。今では見ることがほとんどなくなった茅葺き屋根についても、日本の気候に順応した構造でした。風通しがよくて吸湿作用もありますから、茅葺き屋根の下で過ごせば熱帯夜とも無縁だったはずです。日本人は、夏は蒸し暑いのが普通だと考えていますが、湿度の高さに驚く外国人が多くいます。蒸し暑いとされる低地を避けて、風通しがよい武蔵野台地の六本木や麻布の周辺に多くの大使館を設けたのは、外国大使への配慮でもありました。最近は温暖化傾向にあり、ゲリラ豪雨も頻発するようになっています。激しい雷雨になる3つの条件があります。気温の高さ、寒気の流入、最後に重要となるのが雨の元になる湿度の高さです。これらの3つの条件が合わさると、極めて激しい雷雨になります。湿気が少なければ気温が高くても雷雨は局地的で終わり、平野部まで流入してくることも減ります。湿度によって雨の量や降り方にも影響しますから、天気予報は総合的に見ることが大切です。