雨量計に関するちょっとした予備知識
気象観測はとても大切
気象観測は古代から行われていて、今は地球上のあらゆる場所で行われています。古代においても農作物を植えたりする際、やはり気象の動きなどを知るのが大切で、気象観測はとても大事なことだったのです。
南米のペルーにある、謎の遺跡と言われているマチュピチュの遺跡も、最近の調査で「気象観測のために作られた建造物ではないか」という説が有力になってきています。
現在も、防災や健康管理、野球などのスポーツ開催、他にも様々な施設の利用などに関して、気象を予報するのに必要不可欠な作業です。気象現象のメカニズムの解明や気候の観測や研究でも、長期間にわたる気象観測のデータが必要不可欠となります。
気象観測は行う場所で、「陸上で行われる地上気象観測」「海洋(海上)で行われる海洋(海上)気象観測」「地上から離れた大気中か高山で行われる高層気象観測」「人工衛星によって行われる衛星観測」と、4つに分かれます。この中でも主流となるのが地上気象観測で、観測場所の数は他の3つに比べても圧倒的に多く、機器設備の設置や管理も容易です。
観測対象となるのは、気温、気圧、湿度、風、降水、日射など多岐にわたり、細かく分ければ数十にものぼります。天候などは人の目による目視で行われ、気温、降水量などの物理量は機器を使って観測されます。人員と設備があれば、ほとんどの観測は地上で行うことができます。
気象観測に使われる機器
気温、風向と風速、降水量等を測定する気象観測は、気象庁のほか地方公共団体、運輸・電力関連機関などが行っています。
気象庁による地上での気象観測は、地方気象台などの気象官署、特別地域気象観測所が行っています。気圧、気温、湿度、風向、風速、降水量、積雪深、日射量、日照時間などを観測しています。地上気象観測で使用されている測器は、電気式温度計、電気式湿度計、転倒ます型雨量計、電気式気圧計、風車型風向風速計、全天日射計、回転式日照計、積雪計(光電式)、視程計などです。気圧計以外の測器は観測露場や庁舎屋上等に設置され、気圧計や信号変換部は観測室内に設置されています。
気象観測で身近なものの一つは、降水量でしょう。毎日の天気予報でも、一番気になるのは雨雲の動きで、いつも雨が降るかどうか気になるものです。スポーツや様々なイベントでも、雨が降るかどうかで予定が左右されるものです。学校などでも、百葉箱(温度・湿度)、雨量計、風向風速計などを設置し、自分たちで気象の観測を行い、気象の動きの記録を付けることで、「今月の雨の日はどれくらいあったか」「どれくらいの量の雨が降ったか」ということを知ることができます。
自分で出来る気象観測
雨に関する観測でおなじみなのは、雨量計です。日本の場合、公共的な気象観測には検定に合格した貯水型雨量計、または、転倒ます型式雨量計が使われています。このうち、転倒ます型雨量計というのは、雨量計の中にシーソー型の支点上で結合された2つの枡が付いた形のものです。雨が一方のますに注ぎ込まれ、一定量が貯まると重さでシーソーが倒れ、片方の枡に注ぎ込まれます。これを繰り返し、1時間ごとに左右交互に転倒する回数を数えることで時間雨量を計測することができます。
雨量の基本的な測定方法としては、貯水ビンと呼ばれる受水器に雨を貯め、その量を量ることで降水量を求める方法です。日本の場合、直径20cmのものが標準的とされています。貯水型の雨量計は、ペットボトルなどを用いて一般家庭でも簡単に作ることが出来ます。容器の形状は、雨を受ける容器の口の面積と容器の底の面積が等しい、いわゆるずん胴型のもので、容器の直径が変化しない底ができるだけ平らなものを用います。たまった雨量をものさしなどで測り、容器の底面積をかけた数値が降水量になります。
雨量計を設置する際は、まわりに雨をさえぎるような障害物や雨を跳ね返すような物があったり、風当たりが強かったりすると正しいデータを取れなくなるので、こうした影響が無いところを選んで設置することを心がけます。最近は、「1時間に100ミリ前後の猛烈な雨が降った」というニュースもよく聞かれるようになりました。これは「1時間の間で雨が水深10㎝までたまった」という意味で、10cmだとかなり猛烈な雨になります。