風向風速計を設置する際の考慮すべき事項
風向風速計を設置する際に考えなければならないこと
私達の生活において風の観測はとても重要な気象観測の一つです。一般の方の生活においては台風などの猛烈な強風が吹く時でなければ、風観測の重要性を感じることは少なくなっていますが、漁業や農業においては風が強いことで船の運航や作物の成長に影響を与えることもあるので、風観測はそのようなところで貴重なデータとして扱われているのです。
風向風速計は従来のものよりも進歩しているのでより正確な観測をすることができるようになりました。風向風速計を屋外に設置することで風の観測を行うことができます。どの場所に設置をしてもよいということではなく、正確に風を測定するためには適切な場所に設置することが求められます。そのため、様々な点を考慮した上で設置するようにしましょう。
まず、建物の影響を考えて設置します。現在ではビルなどが多く建設されているので、高い建物が豊富にあります。特に都心においてはそれが顕著になっています。都内だけでなく高さがあるものとして木が挙げられます。地方においては長年成長した木がありますが、その木も風の観測に影響を与える可能性があります。風向風速計を設置する時はこのような障害物の高さを確認し、風速計と障害物の距離が、障害物の高さの少なくとも10倍(理想は20倍)離して設置することが望ましいです。高い建物や高さのある障害物の近くに設置すると風の乱れなどが発生するので、正しく観測することができません。
地面に直接設置するのではなく、ビルの屋上に設置する場合も考慮しなければならないことはとても多くあります。屋上には給水タンクなどが設置されているビルは豊富にあります。そのため、屋上でもなるべく高いところに設置をするのが一般的とされています。壁面からの吹上風を避けるために、中央部(外壁よりも5メートル以上内側が望ましい)に少なくとも2m以上の支柱を建て、その上に設置をするのが望ましいとされています。支柱の立ち上がりが足りなかったり、じかに設置してしまったりすると、建物によって発生する乱流の影響で正確な測定をすることができません。
ビルの屋上だけでなく、鉄塔及び煙突の途中に設置をする方もいるのではないでしょうか。この際にも考慮すべき点がありますが、煙突の径が大きい場合、風の流れが乱れたりするため正しく観測できません。塔や煙突から水平にアームを張り出し、風向風速計との距離をできるだけ離すように(最低でも直径の3倍以上が望ましい)設置するようにします。
このように、設置する時には正確な観測ができる場所を選ぶことがとても重要です。
風速計の障害原因と対策について
風速計を実際に導入すると思わぬトラブルが発生してしまうこともあります。そのトラブルの多くは製品が原因でなく、環境などによってもたらされるケースが多くなっています。
障害事例を把握しておくことによって、そのようなトラブルが発生した時でも冷静に対処できます。例えば風速値が0のまま変わらないトラブルです。原因に関してはプロペラが凍結していることが挙げられます。特に寒冷地においては夜間に風速計を外に出していると凍結する恐れがありますので、凍結部分を取り除くことでトラブルを解決できます。
また、凍結していると風速値だけでなく、風向も正しく観測できないことがあります。原因は風向の回転軸が凍結して動かなくなっているからです。この際にも、凍結部分を取り除くことによって正しく観測をすることが可能となります。凍結をしていないのにこのトラブルが発生した祭には風速計が傾いているかを確認して、傾いているのであれば水平に取り付け直すことで解決できることもあります。
その他にも風向がずれているトラブルがあります。この際には取り付ける方向が誤っている可能性があるため、正しい取り付け方をしているか方位を再度確認をして誤っている際には正しい方位に取り付け直すことで解決できます。このように環境や取り付け方で正しく観測できなくなることもあるので、正しい取り付け方かなどを確認してトラブルに対処するようにしましょう。