気象観測と監視データの記録
気象観測システムは周囲にある様々な気象現象を計測・記録をし、その後の気象予報などに用いられます。計測する内容は場所によって様々で、気象庁は全国の約1300ヶ所に配置したアメダスと呼ばれる観測システムを用いて、降水量・気温・湿度・風向風速・日照時間・積雪深などの基本的な情報を監視しています。また、全国に配置された気象台ではこのようなシステムによる自動記録に加えて、監視員による天気や視程、雲の様子など経験と知識が必要な内容の評価も行っています。
代表的な気象観測の方法として、気象レーダーによる計測はレーダー波を雨や雪などの空気中の水粒子に照射し反射した電波を解析することで、各地の降水分布と水量を観測しています。さらにこのような気象観測では反射電波のドップラー効果を利用することによって水粒子の分布の時間変化を観測することができるため、計測領域内の詳細な風向・風速の分布や突風、竜巻、積乱雲の発達の監視をすることができます。各地に設置された気象レーダーによる監視網について見てみると、20ヶ所のレーダー観測所が特に山の上に設置されていることが分かります。これは、レーダー波として用いるマイクロ波は空気中を直進する性質があるため、進路上に障害物があると遮断されてしまい、観測がうまくいきません。また、障害物が無い場合でも地球が球体のため、遠距離では電波が観測地点よりも上空を通過するために低高度の水粒子を検知できなくなってしまいます。よって、これらの問題を回避するためには、観測所を山頂や鉄塔などの高所に設置する必要があります。
また、全国の観測地点(アメダス)は上述のように1300箇所あり、およそ17km四方につき1地点の割合となります。このうちの約840地点では気象レーダーによる水粒子の解析に併用する形で、風向風速・気温・日照時間といった追加項目の観測も行っています。さらに積雪地帯では、上空にある雲によってどの程度の積雪に結びついたのかを調べることが重要なため、約280の地点の観測所ではで積雪深も観測されています。新しい気象観測の項目として、突風に関する評価が強化されており、2008年3月からは最大瞬間風速の観測と記録が始まっています。各観測地点で得られた監視データはインターネットなどの通信網を経て気象庁内の地域気象センター(通称アメダスセンター)へおよそ10分ごとに送信されており、情報の信頼性確認を経て全国へ配信されていきます。