様々な気象観測の方法

2019-10-26

 気象観測は大気の状態を知る目的で気圧や気温、湿度、降水量、風向、風速などを測定し、雨や台風、竜巻など大気に発生したり、消えたりする現象を観測することをいいます。観測する場所によって、大まかに四つに分けることができます。陸上で観測するのが地上観測といい、海上で観測するのが海洋観測、標高の高い空中や高山で観測するのが高層観測、人工衛星で観測するのが衛星観測です。地上観測や海洋観測などは古くから続けられています。気象衛星を利用した衛星観測が始まったのは二十世紀半ばで、科学技術の発展に伴って複雑、多様化してきました。
 地上観測では、気温や湿度など様々な観測を行いますが、その一つに視程という観測があります。視程とはどこまで先が見通せるかという事です。視程や雲の状態については、人間の目で実際に見ることで観測しますが、他の観測については気温は温度計、湿度は湿度計というようにそれぞれの装置を使って自動観測をしています。観測結果は、毎日定時刻に日本全国や世界に向けて発信されています。
 海洋観測は、地球温暖化を高い精度で予測するために、海水や大気の二酸化炭素の濃度を監視し続けています。海が長期的に変化していく動きを把握し、年々激しくなる気候変動との関わりについて調査するため、海上気象観測船を利用して定期的な観測を続けています。観測船は、海洋の表面だけでなく、深海についても、水温や塩分、溶けている酸素の量、ミネラル含有量や潮の流れなどを観測しています。
 高層観測は、測定器を気球に提げて上空に飛ばして行います。空にあがった気球は上空で割れて、落下傘でゆっくり降りてきます。毎日定時刻に行われて取得したデータは、天気予報のモデルを作る基となったり、気候変動や地球環境の監視に使われたり、航空機の管理などに使われます。レーダ観測は、様々な種類があり、それぞれが色々なことを観測しますが、主なものはアンテナを回転させつつ電波を発することで、広い範囲の雨や雪を観測することができます。
 気象庁による気象観測は、国際的な基準に基づいて行われています。気象観測は、気象庁の他にも全国一万二千ヶ所に及ぶ観測地点で、国や地方公共団体によって続けられています。近頃は、個人的な観測結果を自分からインターネットやスマートフォンなどを介して公開しているグループも多くなっています。通称アメダスという地域気象観測システムによる気象観測も、全国千三百ヶ所以上の観測地点で自動的に観測が行われています。

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