熱電対での温度計測

2019-03-17

  熱電対というのは、2種類の金属線の両端を接続して作った回路、若しくはその2種類の金属線のことを指します。この2つの接続点に温度差を与えると起電力つまり電圧が発生します。この起電力が発生する原理を応用したのが熱電対です。使用する際には接点の片側を測定したい対象物に取り付け(熱接点)、反対の接点を既知の温度のもの(冷接点)、例えば氷水のように温度が0度だと分かっている物などに入れてその起電力を測定し、起電力表から測定点の温度を読み取るのです。工業用には氷水のような冷接点を使用する方法は実用的ではないため、熱電対を接続して温度データに変換する側の機器の内部システムによって温度を簡単に測定することができます。つまり熱電対は主に使われている温度センサーの一種であり、工業製品などで多く使用されています。熱電対では何のことだかわからないという人でも、温度センサーと言えば理解できる人が多いでしょう。
  熱電対を利用した温度センサーの測定可能な温度は使用する金属の種類やその組み合わせによって異なりますが、マイナス数百度の低温から数千度の高温まで計測できます。研究機関などでは、かなり高温になる環境で実験や研究を行うことがあるので、数千度まで耐えられる熱電対はとても適していると言えるでしょう。しかし、研究内容によっては熱電対より更に精度の高い温度測定が必要な場合があります。そのような場合に別の原理の温度センサーを使用することもあります。白金測温抵抗体という、金属の電気抵抗が温度にほぼ比例して変化することを利用した温度センサーなどがその例です。
  白金測温抵抗体を利用した温度センサーは、精度は熱電対よりも優れているのですが、その分高価になるので、そこまで精度を必要としない場面ではあまり経済的だとは言えないでしょう。逆に熱電対の場合には、精度は白金測温抵抗体に劣るのですが、安価なので数多く導入できるというメリットがあります。精度が少し劣るとは言っても、かなり高い精度があるので、普通に使用する分には全く問題はなく、現在では最も多く使用されています。

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