太陽光発電において重要な役割を果たす日射計
太陽光発電は再生可能エネルギーのひとつとして注目され、企業でも個人でも普及が進んでいます。補助金の導入や、余剰電力の買取保証制度などもこの動きに一役買いました。太陽光発電システムは二酸化炭素などの温室効果ガスを発生せず、一度設置すれば半永久的にクリーンなエネルギーを生み出しつづけます。その反面、夜間は発電能力がなく、曇や雨の日には発電効率が落ち、安定した電力が供給できないというデメリットがあります。条件が悪い場所に設置すると、コストに見合わない電力しか供給できないこともあり得ます。
効率的な太陽光発電を行なうためには、日射計などを用いて利用できる太陽エネルギー量を事前に計測して調査しておくことが重要です。日射計は一定時間内に、単位面積に降り注ぐ太陽光のエネルギー量を数値化する装置です。日射計の原理としては、光エネルギーの量を熱電素子や光電素子を用いて電気信号に変換する必要があります。例えば、熱電素子を利用するタイプは、太陽光を浴びて素子が熱くなるのでその熱を光の量に換算します。通常の日射量の計測には全天日射計を使用します。日射量には太陽からの直接届く直達日射と、大気によって散乱された光の散乱日射があります。この両者を足したものが全天日射です。全天日射計は半球形の受光部を持ち、すべての方向からの日射量を測定します。太陽光発電は全方向からの光を利用するため、全天日射量が重要な意味を持ちます。ただし気象観測などの目的で、直達日射量や散乱日射量の測定が必要になる場合もあります。直達日射量を測定するには、自動的に太陽を追尾する機能を備えた筒型の測定器を用います。また散乱日射量は、全天日射量から直達日射量を差し引いて求めます。気象庁では検定を受けた全天電気式日射計を気象観測に採用しています。全国的な観測システムであるアメダスにも利用され、天気予報に重要な役割を果たしています。太陽エネルギーは農作物の生育にも関与し、米や野菜の市場価格に大きな影響を及ぼします。また日射量が多すぎると熱中症、少なすぎると代謝異常やうつ病の原因になることが知られています。このように日射計は、工業だけでなく農業や医学など、さまざまな分野で活用されています。