近年の気象災害【平成30年7月豪雨(前線及び台風7号による大雨等)】
2021-05-07
2018年6月28日から7月8日にかけて、西日本を中心に全国的に広い範囲で発生した記録的な大雨。7月9日に気象庁が命名し、別称“西日本豪雨”と呼ばれています。
西日本から東海地方を中心に数日間広い範囲で降り続いた大雨の総雨量は、1982年以降の豪雨災害時の雨量と比べて極めて大きい記録的なものとなりました。
記録的な長時間の降雨に加え短時間で高強度の降雨も広範囲に発生したことで、各地で洪水氾濫と内水氾濫が同時に発生しました。また、上流部で発生した土砂災害による大量の土砂が降り続く雨により河川に流入し続けたため、流速が比較的緩やかになる下流部に堆積し河床上昇を引き起こすとともに、下流で土砂が氾濫したことによって土砂・洪水氾濫が発生しました。死者・行方不明者多数、断水や電話不通などのライフライン被害や鉄道の運休などの交通障害など、甚大な被害が発生しました。
大雨特別警報の発表に至った7月5日以降は西日本付近に停滞した梅雨前線に向けて、極めて多量の水蒸気が流れ込み続け、局地的には線状降水帯が形成されました。この要因は、非常に発達したオホーツク海高気圧と南東に張り出した太平洋高気圧との間に梅雨前線が停滞したことによるものと考えられています。二つの高気圧が強まったのは、上層の寒帯前線ジェット気流と亜熱帯ジェット気流の大きな蛇行が持続したことが影響しており、その後の7月中旬以降の記録的な高温にも影響を与えています。なお、この豪雨には、地球温暖化に伴う水蒸気量の増加の寄与もあったと考えられています。