大気圧を計測する気圧計の特徴
気圧計は大気の圧力を計測するための機器で、用途に応じて様々な種類・原理の計測器が利用されています。気圧は低気圧や高気圧といった天候を大きく左右する要素を直接計測するため、気象観測においても重要な項目のひとつです。尚、気圧の大きさと地上からの高度には相関があるため、気圧計の原理・構造はそのまま高度計に用いることが可能です。
気圧計はその測定原理によって、液柱型水銀、アネロイド型、ブルドン管、電気式の4つに分類することが可能です。日本の気象観測においては気象業務法とその関連法令によって、公的な性能テストに合格した液柱型水銀、アネロイド型、あるいは電気式のいずれかが使用されています。以下には、これらの三つの計測器について紹介をしていきます。
液柱型水銀気圧計はガラス管に封入した水銀に発生するトリチェリの真空を利用して大気圧を計測することを特徴としています。水銀容器の液面にかかる大気圧とガラス管内部に封入された水銀柱の重さを釣り合わせ、そのときのガラス管の目盛りを読むことで大気圧を計測することが可能です。厳密な測定には温度と及び重力加速度を用いた補正が必要で、温度計が付属していることもあります。水銀の重量を用いた原理から非常に精度の高い計測が可能ですが、反面、重量があり運搬に適さないことが欠点です。
アネロイド型気圧計は機器内部をほぼ真空にすることを特徴としています。内部を真空にした円筒状の金属容器と、それを押しつぶそうとする大気圧が内蔵されたばねの反発力で釣り合うことで大気圧の測定が可能です。水銀方よりも精度が劣るものの、軽量で持ち運びやすく取扱いが簡単なため携帯用の機器として広く用いられています。
電気式気圧計は半導体を用いたセンサにより大気圧のアナログ情報を電気信号として出力することを特徴としています。この半導体センサには、静電容量式のものと振動式の二つが用いられています。静電容量式のセンサではシリコン製の計測エリアがコンデンサを形成しており、気圧の変化によって電極間距離が変わり、静電容量の変化として検出されます。また、振動式のセンサではシリコンでできた計測エリアに水晶振動子などで振動を加えており、気圧変動によるセンサ面の共振周波数変化を検出しています。電気式では半導体技術による高精度かつ高信頼性が特長で、日本の気象観測においてはアメダスにも組み込まれています。