日射計の観測データを農業に生かす

2019-12-26

 当たり前の話しですが、植物は日光と水がなければ育ちません。太陽の熱によって地中の温度が上昇し植物はすくすくと育っていきます。水は地中の養分を根から吸い上げて植物を大きく丈夫なものにしていきます。日光と水に育まれた農作物はたっぷりと地中の養分を吸い上げ、おいしくて体に良い貴重な食料として育っていきます。地中の温度と空気中の温度がほどよく上昇するためには日照時間は重要です。毎年一年の日照時間が様々なメディアで公表されていますが、日照時間によって今年の収穫の度合いがいかほどになるか推測することもできます。ただしあまりに強烈な日射は逆に植物に悪い影響を与えます。人間と同様に野菜や果物も日射病のような状態になるのです。そうなると出荷が難しくなりますから市場での作物は品不足となり、とたんに野菜や果物の値段も高騰していきます。ましてここ10年~20年の間は異常なほどの強烈な日照に見舞われたかと思えば、逆に日照不足で野菜や果物が充分に育たないどころか、降るはずのない季節に雪が舞い下りるという異常な気象状況が続いています。特に露地物は打撃を受けます。このように日照時間と植物との間には密接な関係があり、それは我々消費者の生活を変えてしまうほどの影響力を持っているのです。
 長年続いてきた気象の変動を科学の目で分析して、農業に生かせないかといった研究も進んでいます。実際徹底した管理の下で健全でおいしい野菜や果物の栽培は行われています。世界規模でクリーンエネルギーの活用という発想も生まれ、新たな産業開発として各国で切磋琢磨し研究が進行しています。かつて使われていたものよりは高精度な日射計も開発されていて、現場では実際に大いに活用されています。野菜や果物などの農作物がすくすくと育まれている場所は街の郊外から少しだけ離れた開けた場所であることが多く、気象環境の影響を受けやすい露地物よりはビニールハウスで栽培されることが増えています。大がかりな水耕栽培を行っている農家も少なからずありますが、ほとんどは土から直接養分を吸って育成される形がほとんどです。どちらでもおいしい野菜ができる事に変わりはないのですが、設備を整えるために莫大な費用がかかり、電気機器を揃えるための設備もしっかり整備しなければならないとなると、さすがに積極的にやろうという人は減るでしょう。
 近年開発されている農業向けの気象観測機器は農家の手間をほとんどとらせない機器であり、電気設備を設置しにくい山岳地帯や電気が通りにくいエリアでも充分活用できるものですから、地球のどこでも活用できるでしょう。気象観測など難しい知識やテクニックを身につけなければできないとなると、これもまたややこしくなりますが、さほど大がかりな機器というのではなく、作業の片手間に手軽に気象観測できる小型のものが多く、多くの農家では若手を中心に日射計を使った気象観測などが進んでいます。ここ20年ほどの間で騒がれている地球温暖化の影響で、地球上の食料が不足するのではないかと言われているだけに、手軽に誰でも扱える機器で温度や湿度、日射量等を管理し作物を豊かに実らせることができると期待が高まっているのです。
 これからは科学と農業が融合された新しい産業が人類の生活を支える元となっていくのでしょう。地球温暖化が社会現象のように多くの人々の共通理解として受け取られ、急ピッチで大気中の二酸化炭素濃度を元々の状態にまで戻すことを急務とする見解が世界規模で広がると共に、メタンガスや石油あるいは石炭由来のものに取って代わる次世代エネルギーの開発が急がれています。これまでも天然植物を加工していく過程で発生するエネルギーや食糧難をカバーする新種の食材の発見など多種多様な研究開発が続けられてきましたが、そうした中で有望視されているエネルギーの1つが太陽光発電です。太陽の光は地球が滅ぶか太陽が無くなるかしない限り、永久に地球に注がれてくるものです。太陽光は大気と大地を暖め地球上にあるあらゆるものを明るく照らします。暖められた土中の熱は水蒸気と共に上昇して大気も暖め潤いを与えます。この循環型エネルギーを熱エネルギーとして備蓄して生活に生かせば従来使ってきた電化製品の使用量を節約できます。電気はどのように作られるかといいますと火力発電の次に水力発電であり、さらに原子力発電もあります。これらの上限は決まっていますから、湯水のようにみんなで使っていけば、どこかで破綻していきます。この問題解決の道へ導いてくれるのが太陽光発電というわけです。文字通り太陽光発電は日照時間や日射量の影響を受けますから、太陽光発電計測の一環としての日射計の開発が急がれていました。見た目はUFOのようなユニークな形をしていますが、高性能かつ精密度の優れた機器で、天候に影響受けることもなく常に太陽光発電の発電効率を見守ります。

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