工業用に利用されている温度センサー
温度センサーは、物質の温度変化による物性の変化を温度として検出して温度を測定する機器です。体温計などのガラス製棒温度計といわれるものは、ガラス管の先端球部に水銀やアルコールが入っており、液体の熱膨張によって棒部分にその液体が上下して、温度目盛りを読み込むことで温度を知ることができるものです。
温度センサーには測温抵抗体と熱電対もあり、測温抵抗体は金属の電気抵抗が温度にほぼ比例して変化することを利用した温度計で、精度の高い測定が可能です。熱電対は、2種類の異なる金属を接続し、両方の接点間の温度差によって生じた起電力を利用した温度センサーです。安価で広い範囲の測定が可能なため、工業用の温度センサーとして多く利用されているものです。
測温抵抗体は応答が早くはありませんが、安定性や再現性が非常に優れ、高精度な温度計測ができるという特長があります。内部の抵抗素子の抵抗値を精度よく計測することで温度を算出する測温抵抗体は、導線抵抗の影響を極力受けないようにする必要があり、導線の材質や太さに注意し、温度の勾配が生じないようにする必要があります。また、測温抵抗体の感部が測温対象と同じ温度になるように設置しないと正確には測れないので注意が必要です。
また規定電流を流して温度を求めるとき、発生したジュール熱によって測温抵抗体自身が加熱されます。これを自己加熱といいますが、自己加熱が大きいと精度誤差の要因になるので、使用に記載されている規定電流値内で測定する必要があります。
工業製品用の温度測定と温度制御に多く使用されているのが熱電対ですが、原理としては2種類の異なる金属線の両端を接合し、その二つの接続点に温度差を与えるとこの回路に電圧が発生し微少な電流が流れます。この温度差によって発生する電力を熱起電力といい、起電力は直流電圧で導体の長さや断面積などに影響されない性質を持ちます。
そこで一方の接続点の温度を一定温度に保っておき、起電力の値を測定することで、もう片方の接続点の温度を計測することができます。この原理を利用して異なる2種類の金属線を組み合わせて、対象物の温度を測定できるようにしたものが、熱電対温度センサーです。極低温から高温まで測定できる温度領域も広く、安価なだけではなく、比較的早い応答速度を実現できる特長があります。