超音波を利用した風向風速測定
風向風速は、時として農業被害を始めとした様々な被害の原因となりますが、地形によっては複雑な風向きや風速分布になりやすく、また、加速されて強い風吹く場合もあります。このような場合に対処するために、多くの場所に風向風速の観測点が設けられています。
風向風速計には、いくつかの種類があり、それぞれに特徴があります。まず、一般的によく見られるものとしては風車型があり、このタイプは小直径のプロペラ型の羽を持つ水平軸風車型となっており、前側に風車あり後側に風見安定用の尾翼がついています。風車の回転数から測定ができ、風向きも同時に観測できるようになっていますが、複雑な地形や建物の影響がある場合などでは風速に信頼性が欠ける面があります。
次に熱線風速計があります。このタイプは細い線に電流を流して気流に放熱をして、ここでの熱伝導率を利用した仕組みとなっており、風向に影響しない精密な測定ができるようになっています。しかし長時間測定には対応することが難しく、大気中に塵などがある場合にも使用ができないために気象用としては向いていない面があります。風向風速計には、他に測定器の1つに超音波を使用したタイプがあります。このタイプは先頭に超音波受信器が設けてあり、その間の超音波パルスが伝わる時間を計測することによって測定を行うことができるようになっています。
この場合、空気に動きが無い状態ではパルスが伝わる時間は全て同じになり、風が吹いた場合には超音波が対面の装置に伝わる時間が遅れることから、この特性を利用して風速と風向を計算します。超音波式は飛行機型に対して起動風速が小さく、微風計測を行うことができます。また、可動部がないため、機械的な故障が少なく、メンテナンス性も高いです。ただし、設置には注意点もあり、精密機械であるために誘導雷には注意が必要です。