湿度を測定、記録する機材の種類について
大気中に含まれる水蒸気は温度によって最大値が決まっています。そのため、現在の温度の水蒸気量がその温度の最大の水蒸気量に対して何パーセントであるかを求めることができます。これによって得られた数値を「相対湿度」と言います。我々が一般的に「湿度」と言っているのはこの相対湿度のことです。このことから、「湿度計」とは、「大気中に含まれる水蒸気」を測定する機器であるということができます。実際には、その測定手段によって様々な種類に分けられますが、大別すれば、感部の変化の記録を利用する「直接的な方式」と、大気の温度と水蒸気圧の測定記録を利用する「間接的な方式」の2つとなります。基本的には、「直接的な方式」の方が手軽で「間接的な方式」の方が精密であるという特徴がありますが、それでも誤差を完全になくすことはできません。そのため、日本では公共的な気象観測に対し、気象業務法などが定める検定に合格した測器を用いることが義務付けられ、ばらつきを少なくする取り組みが行われています。「直接的な方式」のうち、現在最も普及していると言えるのが「電気式」です。これは、水分を吸収しやすい物質をセンサーとして活用し、水分を吸収した時の誘電率の変化を利用するものであり、日本でも気象庁が採用しています。ただし、温度の変化に影響を受けた誤差が大きいという問題もあり、温度センサーによる誤差の補正が必要となります。また、かつてよく用いられていたのが「伸縮式」の機器です。これは、髪の毛のように空気の湿り気によって伸び縮みする素材(高いほど伸びる)の特性を利用したものです。簡単に作ることができるというメリットがありますが、その分だけ誤差も大きいという問題があります。「間接的な方式」としては、「露点式」が挙げられます。これは、空気を冷却して凝結が始まる温度である「露点温度」の記録を利用する方式であり、主に精密観測に用いられます。ちなみに、この場合は、露点温度が高いほど空気が湿っているということになります。かつて一般的であった「乾湿式」は、湿らせた湿球と乾かした乾球がそれぞれ別の容器に入っています。湿球内では湿度に応じて水分が蒸発し、気化熱となって湿球内の温度を下げるため、乾球内のデータと比較することで温度や湿度を求めることができます。その精度は非常に高く、他の計測器を校正する基準器としての役割を果たしますが、極端な高温や低温、低湿度や低気圧下では誤差が大きくなります。