超音波を使った風向風速測定

2018-11-08

風向風速測定は、温度・湿度・雨量の測定と並んで最も基本的な気象要素です。
このため、風向風速計は鉄道の運行管理、空港での航空機の安全な離発着の判断指標、気象の変わりやすい山岳の山小屋や、農業などでも気象の予想の重要な手段として使われています。
風向風速測定には、風車型や風杯型などの機械式のものと、超音波使った非機械式のものがあります。よく見かけるのは、機械式のもので、先端にプロペラが付いて後端に飛行機の尾翼の形をした一体型の風車型のものではないでしょうか。これは垂直な回転軸に、任意の方向に回転できるように支持されていて、尾翼に風を受けることで先端が風上方向に向くことで風向を測定します。また、風を受けてプロペラが回転することでその回転数から風速を測定できるようになっています。
非機械式では超音波式が良く使われています。音が空中を伝わる速さは一定ですが、同じ方向に風が吹くと風の速度が加算されて早くなります。これは、近づいてくる救急車の音が高く聞こえ、遠ざかっていく音は低く聞こえる、いわゆるドップラー効果と同じ原理といえるでしょう。具体的には、向かい合わせに発信部と受信部を設け、発信部から出した超音波を受信部で受けることで空間の伝播時間を測定し、音速を引くことで風速を計算します。さらに、この一対の測定装置を2組、直角に設けて設置し、直行する2方向の風速を測定し、ベクトル計算することで風向と風速を計算することができるわけです。さらにもう一組、先の2組とさらに直角方向に追加すれば、3次元方向の風向風速測定も可能になります。
超音波式の特徴は、可動部がないためメンテナンスの必要が少なく、ヒーターを搭載することができるので耐気候性が高いことです。一方、短所としては温度変化や振動などの影響で誤差を含みやすい点と、計算処理が必要な点です。ただ、現在では、計算処理に関しては、機械式でもそのデータはデジタルデータに換算されることでコンピュータを介した計算処理は必要であり、短所とはならないとも考えられます。
寒冷地での計測において、機械式の場合はプロペラなどの可動部に着氷することで、回転部分が動かなくなり、測定が不可能になることがあります。一方で超音波式は可動部がないためこのような問題が発生しません。

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