温度の歴史的記録が生まれる要因

2019-03-17

温度に関する歴史的な記録は、複雑な要因が重なって生まれます。普段は限界になる条件にフェーン現象などの要因が重なれば、最高気温が40度を超えることもあります。風は特に気温に影響を与える要因ですが、その条件は地形によっても変わります。
周囲を山に囲まれている盆地では熱がたまりやすくなり、山越えの熱風の影響も受けやすくなる性質があります。日本最高の温度は、1933年に山形市で記録した40.8度が2007年まで破られることがありませんでした。山形市の地形も盆地ですから、山から吹き下ろす熱風が逃げにくい特徴を持っています。山形市は暑い町として有名ですが、上手に涼を求める知恵もあります。最近の地球温暖化の影響によって、今までの常識を覆すほどの変化をもたらしています。ヒートライランドの影響で、都市自体が熱を貯めこむようになっています。大都市では地面の露出部分が少なくて、熱を貯める性質が強いコンクリートやアスファルトの舗装が多くなります。コンクリートに貯められた熱は夜間に放熱するため、夜の温度が余計に高くなってしまいます。冬の温度も高まる傾向にあることは、東京などの大都市部の記録を見れば分かります。東京で観測された過去最低気温の上位は、どれも明治時代や大正時代の記録ばかりです。戦後にも真冬日がわずかにありましたが、平成の時代になってからは冬日の日数も大幅に減少しています。夏の温度の記録は、平成の時代になってから確実に上がっています。観測場所が増えた影響もありますが、相対的に都市の気温が高くなっているのは確かです。関東地方では東京都市圏で高く、中京地域では名古屋市の周辺で高くなっています。
関東の熊谷市の気温が高いのは、東京都区部から吹いてくる南東の熱風の影響が強いと考えられています。都市の温暖化の影響によって、最近では熱中症の問題が深刻となってきました。昔の夏は夜になれば涼しくなるものでしたが、最近では夜でも30度を下回らない日もあります。朝の気温が非常に高いために、日中の高温状態がさらにひどくなる悪循環です。都市の温度が非常に高くなると、亜熱帯のような気候になる恐れがあります。ゲリラ豪雨と呼ばれる気象現象は、予測が困難で突然発生します。積乱雲のエネルギー源が都市部で作られ、竜巻などの突風を発生させる原因にもなります。都市の温暖化を抑制するためには、緑化を推進する必要もあります。涼しい風の通り道を作り、クールスポットを確保する努力も必要です。

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