日射計による日射量の計測
日射計は気象観測の項目のうち日射量を測る装置です。ここでいう日射量とは単位面積および単位時間あたりの太陽の放射エネルギーの量を示しています。そのため、日射量の評価においては太陽の輻射を熱エネルギーもしくは光エネルギーとして検出し、電気信号に変換して計測を行っています。現在は遠隔地での定点観測や無人観測に適していることから、熱電変換素子や光電変換素子を用いた日射計が一般的に用いられています。日射計で実際に測定される日射量には直達・散乱・全天日射の3つの種類があり、測定環境や目的によって選択されています。直達日射量は自動的に太陽の方向を向く機構が取り付けられていて、筒状の計測機器へ直接差し込む太陽光以外は計測されないように工夫されています。また、散乱日射量はそれ以外の大気の分子や雲の粒子などに散乱された日射成分を指し、全天日射量はドーム状の機器により両者の総和を観測します。中でも、全天日射量は測定環境における総合的な日射量を計測するため、最も需要が多い日射計とされています。
以下に全天日射計に用いられる二つの測定原理を紹介していきます。全天日射計には熱電変換素子(サーモパイル)を用いるものと、光電変換素子(フォトダイオード)を用いるものの二つが存在しています。現時点では、一般的に日射計というと全天型ではサーモパイルを利用したものを指し製品が販売されています。一方、光電変換素子を利用したものは未だ研究段階ですが、類似技術である太陽光発電の発展から改良が進んでいます。まず、熱電変換素子を利用した全天型計器では、透明な風防を設けその中に白色と黒色の二つの受光部を用意し、その間に設置したサーモパイルで日射によって生じる両受光部の温度差に比例した電圧差を検出しています。機器によっては、この二つの受光部を白黒に塗り分ける白黒型と、二つの面積の異なる黒色の受光部で検出する黒黒型に分かれています。また、光電変換素子を利用した全天型計器では、熱電変換素子を利用したものと同様に半球形の透明風防を用意し、その中心にシリコンフォトダイオード等の光電変換素子を置く機器構成をとっています。シリコンフォトダイオードで光子エネルギーを電位差に変換して日射量を計測しています。測定機器の特徴として、風防以外の外面は白色塗装や銀メッキが施されており、不要な日射吸収による機器内部の過熱や観測誤差を防ぐようになっています。