気象観測における気圧計について

2020-02-17

 気圧は天気と密接に関係します。気圧が下がっていくということは低気圧が周辺に近づいていることを意味します。その逆に気圧が上昇していくと高気圧が接近しつつあることになります。こうしたことは定点での気圧の観測から知ることができます。この観測の定点が多いほど、そしてその観測の網の目のエリアが細かいほど精密な測定が可能です。同じ気圧のところは等圧線で結んで気圧配置を表すことができます。このように気圧は気象観測の項目のひとつになっています。常に観測を続けることで上に書いたように天候の変化を把握し今後の変化をある程度予測することもできます。
 一般的な気圧の測定には以前は水銀気圧計が用いられてきました。精度がよいために長く使われてきましたが、環境問題や移動に向かないなどの点から今では別のタイプの気圧計に変わりました。そのひとつが携帯も可能なタイプの気圧計です。この装置は、金属の缶のなかに測定に必要な感部が入っています。中は真空になっており、周囲の大気圧を敏感に感じるような仕組みが備わっています。気圧が上がると缶がへこむために、中に備えてあるばねなどの装置でへこみ具合を厳密に感知します。それを針先に伝えて目盛りを読み取ることで気圧を知ることができます。この装置を使うようになってから、任意の場所で簡単に気圧を測定することが可能になりました。
 気象の各要素はどれもそうですが気圧も普通は定時で観測します。一定の時間ごとの気圧変化を知るためです。この装置は温度の影響を大きく受けることになります。したがって必ず風通しのよい日陰で、立てた状態で観測する必要があります。また、観測地点には装置が安定するまで前もって置いておく必要があります。観測中はさわったり、振動を与えたりしないようにします。したがって急な降雨などには注意が必要です。このタイプの気圧計による気圧の記録の精度は水銀気圧計ほどではないとされています。しかし、気圧を必要とする観測においてはこの装置で支障が出ることはまずないでしょう。最近ではこれよりも精度の点で勝る装置も価格は高くなりますが入手は可能です。気圧の測定中には、急な温度変化は禁物です。もちろん直射日光が当たることや、雨にあてることは避けねばなりません。濡らしてしまったときには、観測終了後にただちに拭いておかないと錆びてしまうことにつながります。さびてしまうと、缶による気圧変化の測定に支障が出ることが考えられます。定期的に点検整備し、表面は乾いた布で軽くふいておくようにします。

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