気圧計についての説明
大気の圧力である気圧は気象要素のひとつで常時観測される項目です。これを測定するのに用いるのが気圧計です。気圧は常に変化しますから、その変化に追従して測定できる装置でなくてはいけません。
以前は水銀をガラスにつめた水銀気圧計がよく用いられてきましたが、水銀に対する安全性の問題から近年では真空の金属缶を使った方式の気圧計がよく用いられるようになってきました。この装置では波形をした薄い金属性の缶の中が真空に保たれています。缶の中には形を維持しようとするばねが入っていて大気の圧力でつぶれないようになっています。気圧が高くなると少しへこみ、低くなるとわずかに膨らみます。この微小な変化をてこの仕組みで大きくし、針の先で目盛りが読めるようになっています。
気圧は定時に観測します。先ほど述べた装置の場合には温度の影響を大きく受けますから観測地点は直射日光の当たる場所は避けます。従って、温度の違う場所から持ち出して測定に用いるときなどは、測定地点でしばらく立てたまま放置しておく必要があります。装置は測定前からしばらく立てておき、測定中も立てて使用するようになっています。寝かせたままでは大気圧を正確に捉えることができない構造になっています。そこで、室内で収納する際にも立てて入れておくとすぐに使えます。この装置の気圧測定の精度は、水銀を用いた装置に劣るとされていますが、通常の個人が行う気象観測であれば大きな支障はありません。他の精度がよい装置と比較して、ある程度測定値を補正することも可能です。近年では±0.5hPaの精度をもつ高精度デジタル型の装置も市販されています。
気圧計による観測を妨げることになりそうな熱源などがそばにないか注意します。装置は繰り返し使いますから耐久性のある材質でつくられた製品を選びます。安定した測定ができるように固定を十分行い、ぐらつきなどがないように測定地点での装置の設置方法を工夫します。観測に伴い定期的に整備を行い、急な故障などに備えて予備の機材を準備しておくとよいです。継続して安定な観測データを得るためには、装置の使用方法や注意書きを遵守します。簡易型の気圧計であれば、観測時のみ屋外に持ち出して測定する方法が取れます。常時屋内に取り付けて使用するほうが、一定の条件下でデータを得やすい面があります。ただし、急に冷暖房を入れるようになった部屋の温度には注意します。